こちらでは、フェアトレードコーヒーについてご紹介します。
「フェアトレードコーヒー」とは、発展途上国のコーヒー生産者が安定した生活を送れるように、適正な価格で取引されているとの認証を受けたコーヒーのこと。
価格だけでなく、
● プレミアム(奨励金)の保証
● 人権保護 (児童労働禁止など)
● 安全な労働環境の提供 (長時間労働禁止など)
● 環境への配慮 (農薬の使用削減など)
などが定められています。
コーヒーにおいては「オーガニック」や「レインフォレスト・アライアンス」などと並び、権威ある認証のひとつです。
ここでは、フェアトレードコーヒーの意味・産地(生産国/原産国)・割合・歴史・認証ラベル(認証マーク)・メリット/デメリット・SDGsとの関係などについてご紹介します。
フェアトレードコーヒー「意味」
「フェアトレード」は、”公正な取引” といったような意味になります。
公正な取引がおこなわれているという認証を受けたコーヒーが「フェアトレードコーヒー」です。
フェアトレードコーヒー「産地」(生産国/原産国)
フェアトレードコーヒーの産地(生産国/原産国)は2025年現在、
「中南米」… エクアドル、キューバ、グアテマラ、コスタリカ、コロンビア、ニカラグア、ブラジル、ペルー、ボリビア、ホンジュラス、メキシコ
「アフリカ」… ウガンダ、エチオピア、ケニア、コンゴ、タンザニア、ブルンジ、マラウイ、南アフリカ、ルワンダ
「東南アジア」… インド、インドネシア、ベトナム、東ティモール、ラオス
などなど、世界中に広がってきています。
フェアトレードコーヒー「割合」
日本のフェアトレード市場における2024年のコーヒーの割合は78.2%で、コーヒーが圧倒的なシェアとなっています。
フェアトレードコーヒー「なぜ必要なのか?」
コーヒーに限らずチョコレート、紅茶、バナナなどがフェアトレードの主な製品となっていますが、フェアトレードはなぜ必要なのでしょうか?
フェアトレードの対象となる製品の産地は発展途上国が多く、小規模な生産者が中心です。
小規模な生産者には適正な市場価格を把握する手段が無いため不当に安い価格で取引されてしまい、取引量を維持するために児童労働などの人権侵害、農薬の大量使用などによる地球環境の悪化につながってしまうという問題を抱えていました。
そういった問題を解決するためにも適切な価格で取引すべきだ、という思想から開始されたのがフェアトレードです。
つまりフェアトレードは、地球規模での問題解決のためにも必要だということになりますね。
フェアトレードコーヒー「歴史」
フェアトレードの歴史は、1946年にアメリカのNGO団体が当時の貧困地域だったプエルトリコで作られた刺繡製品などを買い取り、チャリティバザーの形で販売し、その利益を地域に還元したことが始まりだとされています。
1960年代に入り、先進国と発展途上国との間における不当な価格での取引が問題視されるようになり、徐々にフェアトレードの思想が広がっていったようです。
コーヒーがフェアトレードで取引されるようになったのは1980年代で、欧米でフェアトレード団体が設立され、経済的に苦しんでいる発展途上国からコーヒーを輸入し始めました。
1990年代にはフェアトレードコーヒー専門の会社なども出始め、1997年には「国際フェアトレードラベル機構(FLO)」が創設され、現在に至っているという歴史があります。
フェアトレードコーヒー「認証ラベル」(認証マーク)
フェアトレードコーヒーの認証ラベル(認証マーク)には、
「国際フェアトレードラベル機構(FLO)」
「世界フェアトレード機関(WFTO)」
の2つの認証機関によるものがあります。
2つの認証ラベル(認証マーク)の違いとしては…

「国際フェアトレードラベル機構(FLO)」は個別の製品に対する認証で、最低価格保証など主に価格に関する部分に焦点を当てており、日本ではNPO法人のフェアトレード・ジャパンがライセンス事業をおこなっています。

「世界フェアトレード機関(WFTO)」のラベルは主に企業など組織全体に対する認証で、生産から販売など全体の仕組みに焦点を当てており、日本ではピープル・ツリー(フェアトレードカンパニー株式会社)などが加盟しています。
フェアトレードコーヒー「企業の取り組み」
フェアトレードコーヒーへの企業の取り組みは年々増えてきており、
「イオン(トップバリュ)」
「カルディ(キャメル珈琲)」
「コープ」
「スターバックスコーヒー」
「ゼンショー(すき家・はま寿司など)」
「ネスレ」
「無印良品」
「ローソン」
「ロッテリア(ゼッテリア)」
などの有名企業が、フェアトレードコーヒーの販売などに取り組んでいます。
フェアトレードコーヒー「メリット」
フェアトレードコーヒーのメリットとしては、適正な市場価格で取引されることによりコーヒー生産者の生活の安定につながります。
生産者の生活が安定することで、継続的な生産ができるようにもなります。
また、強引にコーヒー生産量を増やすための無理な農薬使用などが減ることにより、自然環境保護への貢献にもなります。
消費者にとっても、安心・安全な商品が購入できるというメリットがあります。
販売に取り組む企業などにとっては、フェアトレード認証ラベルがついていることでブランディング上のメリットも期待できますね。
フェアトレードコーヒー「デメリット」(問題点)
フェアトレードコーヒーは生産者にとっては特にデメリットはありません。
ただ適切な価格での取引が認証の条件となっていることから、販売する企業にとってはどうしてもコストが高くなってしまうため、結果的に消費者にとっては価格が高くなるという傾向があるようです。
また、資金力のある大手有名企業以外はコストを負担することが難しいため市場における商品バリエーションが増えにくく、消費者にとっての選択肢が限られることもフェアトレードコーヒーが抱える問題点と言えるかもしれません。
フェアトレードコーヒー「SDGsとの関係」
「SDGs」とは日本語で ”持続可能な開発目標” と訳され、2015年9月の国連サミットにおいて採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている、先進国 / 発展途上国に関係なく取り組むべきとされる国際的な目標のこと。
5つの分野 (人間・繁栄・地球・平和・協働) と17の目標、169のターゲットから成り立っています。
フェアトレードはSDGsの以下の17の目標に直接的・間接的に関係しているとされていますが、
(1) 貧困をなくそう
(2) 飢餓をゼロにする
(3) すべての人に健康と福祉を
(4) 質の高い教育をみんなに
(5) ジェンダー平等を実現しよう
(6) 安全な水とトイレを世界中に
(7) エネルギーをみんなに そしてクリーンに
(8) 働きがいも 経済成長も
(9) 産業と技術革新の基盤をつくろう
(10) 人や国の不平等をなくそう
(11) 住み続けられるまちづくりを
(12) つくる責任 つかう責任
(13) 気候変動に具体的な対策を
(14) 海の豊かさを守ろう
(15) 陸の豊かさも守ろう
(16) 平和と公正をすべての人に
(17) パートナーシップで目標を達成しよう
特に(1)(2)(5)(8)(10)(12)(13)と特に深く関係があるとされています。