[用語解説]『スペシャルティコーヒー』の定義・歴史・評価基準・サステナビリティ・トレーサビリティなど

コーヒー用語解説

こちらでは、スペシャルティコーヒーについてご紹介します。

スペシャルティコーヒー「定義」

スペシャルティコーヒー」とは、SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)の定義によれば、

『消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味がすばらしいおいしさであり、消費者がおいしいと評価して満足するコーヒーであること。』

ここでの「風味のおいしさ」とは、

『風味のすばらしいコーヒーのおいしさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。』

となっています。

 

また、栽培や品質管理面においても定義がされており、

『カップの中の風味がすばらしいおいしさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup)』

具体的には、

『生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。
そして、適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されて、欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること。
さらに、適切な抽出がなされ、カップに生産地の特徴的なすばらしい風味特性が表現されることが求められる。』

とされています。

 

更に、

『日本スペシャルティコーヒー協会は、生産国から消費国にいたるコーヒー産業全体の永続的発展に寄与するものとし、スペシャルティコーヒーの要件として、サステナビリティとトレーサビリティの観念は重要なものと考える。』

と結ばれており、「サステナビリティ」(持続可能性)と「トレーサビリティ」(追跡可能性)が重要と定義されています。

 

上記はSCAJ「スペシャルティコーヒーの定義」にて、詳しく説明されています。

スペシャルティコーヒー「歴史」

スペシャルティコーヒーという考え方は、1970年代のアメリカで生まれました。

 

1970年代にはコーヒーは既に世界中で愛飲されており、当時はとにかく安く提供することに優先順位が置かれていたことで、コーヒーの低価格化が進んでしまいました。

低価格化が進むことでコーヒー業界の労働者の賃金が下がってしまい、労働者離れによる人手不足からコーヒーの品質が落ち、そしてコーヒーを飲む人が減るという悪循環に陥りました。

薄くておいしくない、おかわり自由が当たり前のまずいコーヒーになってしまっていたそうです。

 

そんな悪循環を断ち切るため、高品質なコーヒーの生産環境を守ろうということから、スペシャルティコーヒーという考え方が生まれたそうです。

 

1982年には「アメリカスペシャルティコーヒー協会」(SCAA)が設立されました。

1987年には、SCAJの前身となる「全日本グルメコーヒー協会」が発足。

1999年、「日本スペシャルティコーヒー協会」に名称変更。

2003年、「日本スペシャルティコーヒー協会」として新規設立されました。

 

 

スペシャルティコーヒーには、様々な歴史があるのですね。

スペシャルティコーヒー「評価基準」

スペシャルティコーヒー評価基準は、SCAJの「スペシャルティコーヒーの定義」によれば、

(1) カップ・クォリティのきれいさ
(2) 甘さ
(3) 酸味の特徴評価
(4) 口に含んだ質感
(5) 風味特性・風味のプロフィール
(6) 後味の印象度
(7) バランス

の7つの評価基準により評価されています。

100点満点で採点され、80点以上のコーヒーがスペシャルティコーヒーとして認定されます。

 

ちなみに、

80点以上 …「スペシャルティコーヒー
50~79点 …「コモディティコーヒー」
50点以下 …「インスタントコーヒー」

と分類されます。

スペシャルティコーヒー 評価基準1「カップ・クォリティのきれいさ」

スペシャルティコーヒーは、この「カップ・クォリティのきれいさ」に重点が置かれています。

 

「カップ・クォリティのきれいさ」とは 汚れ または 風味の欠点・瑕疵が全く無く、Terroir(テロワール)がきちんと分かるような状態ということ。

Terroir(テロワール)とは、「コーヒーの栽培地域の特性」のことを指します。

 

カップが汚れていたりするとTerroir(テロワール)が感じにくくなるので、評価が低くなるということです。

スペシャルティコーヒー 評価基準2「甘さ」

スペシャルティコーヒーの「甘さ」とは、コーヒー豆に含まれる糖分という意味ではありません。

 

収穫された時点で、熟度が良いことはもちろん、熟度が均一であることが「甘さ」に直接関係します。

 

たとえ糖分量が多くても、

「辛さのある苦味」
「刺激的な酸味」
「強い汚れ」
「渋み」

などがあるとコーヒーの甘さを阻害するので、評価が低くなります。

スペシャルティコーヒー 評価基準3「酸味の特徴評価」

スペシャルティコーヒーにおける「酸味の特徴評価」は、明るく爽やかな、繊細な酸味がどれほどあるか?

酸味の強さということではなく、酸味が良質かどうかが評価基準になります。

 

「刺激的な酸味」
「不快な印象度を与える酸味」
「爽やかさ・キレの無い酸味」
「劣化した嫌な酸味」

などがあると、スペシャルティコーヒーとは認定できないとされています。

スペシャルティコーヒー 評価基準4「口に含んだ質感」

「口に含んだ質感」は、主に味覚以外の感覚についての評価基準になります。

 

「粘り気」
「密度」
「濃さ」
「重さ」
「舌触りの滑らかさ」
「収斂性感触」

などの感覚・触覚が含まれ、量感だけではなく質感が重要としています。

スペシャルティコーヒー 評価基準5「風味特性・風味のプロフィール」

「風味特性・風味のプロフィール」は、スペシャルティコーヒーと一般のコーヒーを区別する最重要項目。

 

先に挙げたTerroir(テロワール)、つまり味覚と嗅覚により感じられる栽培地域の特性がきちんと表現できているか、を評価します。

スペシャルティコーヒー 評価基準6「後味の印象度」

「後味の印象度」は、コーヒーを飲みこんだ後に口に残るコーヒー感が、

「甘さの感覚で消えていくのか」
または、
「刺激的な嫌な感覚がにじみ出てくるのか」

を判定する評価基準です。

スペシャルティコーヒー 評価基準7「バランス」

「バランス」とは、そのコーヒーが、

「風味の調和がとれているのか?」
「何か突出するものはないか?」
「何か欠けているものはないか?」

つまり、全体的にバランスが取れているかを判定する評価基準になります。

スペシャルティコーヒー「サステナビリティ」

サステナビリティ」とは、日本語では「持続可能性」と訳されるのが一般的です。

つまり、ひとつの物事が継続していける可能性のことです。

 

スペシャルティコーヒーにおける「サステナビリティ」とは、そのコーヒーが1年限りなどではなく毎年継続的に生産でき、そして流通させられるのか?

たとえどんなに優れたコーヒーであっても、一過性のものではなく継続的に流通できなければスペシャルティコーヒーとは認定されないということなのですね。

 

コーヒー農園にとっては品質の追求だけではなく、きちんと経営を軌道に乗せて継続的に生産し続けられるようにすることなども求められます。

スペシャルティコーヒー「トレーサビリティ」

トレーサビリティ」とは、日本語では「追跡可能性」と訳されることが多いです。

つまり、その製品がいつ、どこで、だれによって製造されたのかを追跡できること。

 

具体的には、

「生産国」「農園」「生産者」「栽培手法」「流通ルート」

などがきちんと透明化されている必要がある、ということですね。

 

どんなにおいしいコーヒーであっても、どこの誰が作ったのか?がはっきりしないようなコーヒーであれば、トレーサビリティが明確ではないためスペシャルティコーヒーとは認められないということになります。

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