こちらでは、ロブスタ種(ロブスタコーヒーノキ)についてご紹介します。
「ロブスタ種」はアラビカ種 / リベリカ種と並ぶ、コーヒーの三大原種のひとつ。
正式名称(学名)は「Coffea canephora」でアカネ科の植物です。
「カネフォラ種」の1種で、カネフォラ種の大半がロブスタ種ということもあり、
カネフォラ種 = ロブスタ種
として扱われることが多いようです。
また、ロブスタ種はアラビカ種のように、特定のコーヒー銘柄や品種はありません。
ロブスタ種はコーヒー全体の生産量の30~40%を占めており、60~70%を占めるアラビカ種の次に多い生産量となっています。
ここでは、ロブスタ種の原産地・生産地・歴史・味や香りの特徴・アラビカ種との違い・おすすめの飲み方などについてご紹介します。
ロブスタ種(カネフォラ種)「原産地」
ロブスタ種の原産地は、中部アフリカにあるコンゴです。
ロブスタ種(カネフォラ種)「生産地」(生産量ランキング)
ロブスタ種の生産地は原産地のコンゴ以外にもベトナム、ブラジル、インドネシア、ウガンダ、インドなど様々な国で生産されています。
USDA(米国農務省)の公開している2023/2024年の「ロブスタ種の生産量」によると、
1位:ベトナム … 26,500千袋
2位:ブラジル … 21,400千袋
3位:インドネシア … 6,800千袋
4位:ウガンダ … 5,400千袋
5位:インド … 4,580千袋
6位:マレーシア … 1,330千袋
7位:コートダジュール … 1,325千袋
8位:タイ … 750千袋
9位:タンザニア … 600千袋
10位:メキシコ … 545千袋
上記のような生産量ランキングとなっているようです。
ロブスタ種(カネフォラ種)「歴史」
ロブスタ種の歴史はアラビカ種ほど古くはなく、1898年にコンゴで自生していたのを発見されたのが始まりと言われています。
本格的に生産され始めたのは19世紀末頃で、発見地のコンゴでオランダ人の主導により始まったそうです。
生産され始めた当初はロブスタ種は「不味い(まずい)」とされ、あまり評価されなかったようです。
ただ、当時のコーヒー豆としては圧倒的に安かったことから、徐々に世界中に広まっていきました。
第一次世界大戦時のオランダでは、ロブスタ種のコーヒー豆が大流行。
この大流行によりオランダの植民地だったジャワ島では、元々生産されていたアラビカ種から短期間のうちに大半の生産がロブスタ種に変わったのだとか。
その後、アフリカやインドなどでもロブスタ種の生産が始まりました。
1956年には、世界で流通するコーヒー豆の約20%がロブスタ種になるまでに成長。
1960年には、ニューヨークコーヒー取引所により公認となりました。
ロブスタ種はアラビカ種に比べ、病気に強いという長所があります。
1980年にインドネシアでコーヒーさび病が蔓延し、アラビカ種を栽培していたコーヒー農園が壊滅的な打撃を受けた際に、コーヒーさび病の耐性が高いロブスタ種の栽培が始まりました。
その後、インドネシアで生産されるコーヒー豆はほぼ全てロブスタ種となったようです。
また、ロブスタ種の病気に強いという長所を活かすため、風味の良いアラビカ種との交配種も開発され、大量生産が可能なこともあり世界中に広まり続けています。
ロブスタ種は2025年現在、コーヒー全体の生産量の30~40%を占めるまでに至っています。
ロブスタ種(カネフォラ種)「アラビカ種との違い」
ロブスタ種(カネフォラ種)は アラビカ種 / リベリカ種と並ぶコーヒーの三大原種。
リベリカ種は限られた地域でしか生産されておらず世界全体のコーヒー豆における生産比率(割合)は1%以下のため、一般的に流通しているコーヒー豆の約99%はロブスタ種(カネフォラ種)とアラビカ種で、ロブスタ種(カネフォラ種)はその中でも30~40%の生産比率(割合)を占めています。
アラビカ種 / ロブスタ種(カネフォラ種) / リベリカ種の違いとしては、
■ 生産比率(割合)の違い
アラビカ種:全体の60~70%程度
ロブスタ種:全体の30~40%程度
リベリカ種:全体の1%以下
■ 原産地の違い
アラビカ種:エチオピア
ロブスタ種:コンゴ
リベリカ種:リベリア
■ 生産地の違い
アラビカ種:ブラジル、コロンビア、エチオピア、ホンジュラス、ベルー、グアテマラなど
ロブスタ種:ベトナム、ブラジル、インドネシア、ウガンダ、インド、マレーシアなど
リベリカ種:フィリピン、マレーシア、リベリアなど
■ 栽培エリア(標高)の違い
アラビカ種:高地(標高1000m以上)での栽培に適している
ロブスタ種:低地(標高1000m以下)での栽培に適している
リベリカ種:平地(標高200m以下)でも栽培できる
■ 豆の形の違い
アラビカ種:平たい楕円形
ロブスタ種:アラビカ種よりも丸い
リベリカ種:菱形
■ 風味などの特徴の違い
アラビカ種:フルーティーな強めの酸味と甘い香り
ロブスタ種:しっかりとした苦味、酸味は弱め、麦の焦げたような香り
リベリカ種:苦味強め、酸味は弱め、独特のスパイシーな香り
■ カフェイン含有量の違い
アラビカ種:約1% (少ない)
ロブスタ種:約2% (アラビカ種の約2倍)
リベリカ種:アラビカ種とロブスタ種の中程度
■ 病気・害虫などへの耐性の違い
アラビカ種:病気(コーヒーさび病など)・害虫などに弱い
ロブスタ種:病気・害虫などに強く、コーヒーさび病への耐性が強い
リベリカ種:病気・害虫などに強いが、コーヒーさび病への耐性は弱い
■ 主な用途の違い
アラビカ種:高品質なレギュラーコーヒー、スペシャルティコーヒーなど
ロブスタ種:缶コーヒー、インスタントコーヒー、エスプレッソなど
リベリカ種:限られた市場のみで流通 (生産量が限られるため)
上記のような違いが挙げられます。
ロブスタ種(カネフォラ種)「まずい?」
ロブスタ種はアラビカ種と比べると、「不味い(まずい)」と評価されることがあります。
まずいと評価される理由としては、アラビカ種に比べるとカフェイン含有量が多く苦味が強めということがあるとは思いますが、ここは好みにもよるので一概にまずいとはならないような気がします。
また、ロブスタ種はインスタントコーヒーやブレンド用などに使用されることが多く、高品質なレギュラーコーヒーやスペシャルティコーヒーなどに使用されることの多いアラビカ種ほどおいしさを求められていないということもあるかもしれません。
ただ、イタリアが本場のエスプレッソではパンチのある苦味とクレマ(泡)を豊かにするためにロブスタ種のコーヒーが使われます。
また、世界一のロブスタ種生産量を誇るベトナムでは、ロブスタ種のコーヒーに練乳(コンデンスミルク)を加えて飲むのが一般的です。
ロブスタ種には病気に強く大量生産が可能であるという長所もあり、単純にアラビカ種よりもまずいということはなく、おいしいと感じられる飲み方もあるようです。
ロブスタ種(カネフォラ種)「味や香りの特徴」
ロブスタ種の味の特徴としては強い苦味で、酸味はほとんどありません。
焦げたような香ばしい香りも、ロブスタ種の特徴です。
ロブスタ種(カネフォラ種)「おすすめの飲み方」
ロブスタ種は強い苦味や麦の焦げたような香りがあり、練乳(コンデンスミルク)を加え甘くしたベトナムコーヒーのような飲み方や、苦味がやわらぐアイスコーヒーなどがおすすめの飲み方です。
また、苦味を活かしてのエスプレッソもおすすめの飲み方だと思います。